花嫁のれん(加賀友禅)
花嫁のれんとは…。
娘の幸せを託して、生家の紋を染め抜き、嫁ぐ娘に持たせる花嫁のれん。それは、慈しみ育てあげた母の願いであり優しい心遣いでもあります。鮮やかな色で描かれた おしどり、花車などのおめでたい絵柄に、華やかな喜びが息づきます。新しい門出に夢膨らませて花嫁のれんをくぐる時、晴れの日にふさわしい女の幸せが待っているかのようです。
石川県の加賀地方から中能登地方,富山県の西部にかけて、行われている 婚礼儀式の文化の一つとして花嫁のれんは使われています。一般的には、花嫁が婚礼当日、ご挨拶をするため嫁ぎ先の家を訪れます。通常、仏間の入り口にすでに婚礼道具として持参していた花嫁のれんは掛けられていて、花嫁はそれをくぐり 仏壇のご先祖にお参りをします。嫁ぎ先で一生を過ごしていく覚悟で、こののれんをくぐるといわれています。花嫁のれんはお祭りやお正月、慶事の際にも掛けられ披露されます。加賀友禅の技と心を結晶させたこの美しいのれんを、全国の皆様 にもご利用いただきたいと思います。